オーダースーツ店を開業するにあたって、スーツに関する基礎知識を把握しておくことは重要です。最適なスーツを提案するためには、ラペルの種類やポケットの位置、裏地の仕様など、細かな部分まで理解しておかなければなりません。この記事では、スーツの基礎知識について詳しく解説しているので参考にしてください。
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スーツジャケットの種類
スーツのジャケットは、その形やスタイルにより、大きく3つの種類に分けられます。それぞれの種類により、大きく印象が左右されます。まずは、ジャケットの種類について把握しておきましょう。
シングルブレスト
シングルブレストは、前のボタンが一列に並んだデザインで、幅広いシーンで着用できるスタイルです。主に2ボタンと3ボタンのバリエーションがあり、2ボタンは一般的、3ボタンは伝統的で、背が高い人や体形にボリュームがある人に適しています。
ダブルブレスト
ダブルブレストは、前身頃が重なり合い、ボタンが2列に配置されたデザインで、重厚感とエレガントさが特徴的です。6つボタン2つ掛けや4つボタン2つ掛けなど、さまざまなバリエーションがあります。がっしりとした人に合うとされ、フォーマルな場面での着用にも適しています。
スリーピース
ジャケット、ベスト、スラックスの3つのパーツで構成されるスタイルです。フォーマルな印象を与えるため、重要な会議や式典などでよく用いられます。着る人をより洗練された雰囲気に見せる効果があります。
スーツのラペルの形・胴裏の種類
オーダースーツ店を開業する際には、スーツのラペルや胴裏の種類について知識を深めておきましょう。スーツのスタイルや着用シーンに大きく影響する要素であり、顧客に適切にアドバイスする際に役立つからです。
ラペル
ノッチドラペルは、ラペルと襟が鋭角にカットされた形状の、もっとも一般的なスタイルです。シングルブレストのスーツに最適です。フォーマル度は低めで、日常的なビジネススタイルに適しています。ピークドラペルは、ラペルの先が尖って上向きになっているスタイルです。
結婚式やビジネスの重要な会議など、フォーマルなシーンにぴったりでしょう。ショールカラーは、襟の部分が丸くカーブしているラペルスタイルで、主にタキシードに使用されます。結婚式の新郎や、公式な晩餐会などでの着用に最適です。
胴裏
ジャケット全体に裏地が付いている仕様を、総裏と呼びます。既製品では、秋冬用のスーツに多く見られ、フォーマルな場面やビジネスシーンでの使用が一般的です。また背抜きは、背中の上部と前身・細腹の部分に裏地が付いている仕様です。
夏用のスーツや、軽量な仕立てを求める場合に適しています。単衣は、極力裏地を省いた仕様で、背中の上部3分の1ほどの部分だけに裏地が付いています。暑い季節に適しており、すずしさと軽さを重視する場合に選ぶとよいでしょう。
スーツの基本用語
スーツの仕様やディテールには、多くの専門用語が存在します。これらを理解することで、より多彩なスーツを製作できるでしょう。
カラー
襟刻みによって区切られる上側の襟を指し、印象を大きく左右する部分です。カラーとラペルの縫い目線のことをゴージと呼び、位置や角度が流行によって変化します。
ポケット
チェストポケットは、ジャケットの胸の位置にあるポケットです。脇の縫い目を利用したサイドポケットには、パイピングポケットやフラップポケット、チェンジポケットなどがあり、ポケットの仕様や位置でデザインと機能性に変化がでます。
フロントダーツ
前身頃の胸から腰にかけて縦に入るつまみ縫いのことです。この部分でウエストの絞り加減を調整し、スーツのシルエットをうつくしく見せます。
フロントカット
ジャケットの前裾の形のことです。丸形はやわらかく、カジュアルな雰囲気があり、角形はシャープでフォーマルな印象を与えます。
カフ
ジャケットの袖口のことです。本切羽は、実際にボタンを開け閉めできる仕様で、開き見せのボタンは、実際には開かない飾りです。
身頃側の袖をつなぐ部分で、腕を通す穴のことです。アームホールの形状や大きさは、着心地やスーツの見た目に大きく影響します。狭すぎると動きにくくなり、広すぎるとだらしなく見えるので注意が必要です。
袖付け
スーツのシルエットに大きな影響を与える要素です。袖山がわずかに盛り上がっているビルドアップショルダーは、ブリティッシュスタイルに、丸く自然に落ちるナチュラルショルダーは、イタリアンスタイルに多く見られます。
ベント
ジャケットの後身頃の裾にある切れ目のことです。センターベントは中央に、サイドベンツは両脇に切れ目があります。ベントの有無や位置は、スーツの動きやすさやスタイルに影響を与えます。
ウエストバンド
スラックスのウエストをホールドするベルト状の部分です。トップボタンが付いており、ベルトループが縫い付けられています。スラックスのフィット感を高めるために重要な役割を果たします。ウエストバンドについたベルト通しは、ベルトループです。ベルトを通してスラックスを固定するために使用されます。
タック
腰回りにゆとりを作るための縫いひだのことです。タックの本数や外向きか内向きかによって、スラックスの印象が変わります。タック入りのスラックスは、クラシックなスタイルに適しています。
まとめ
オーダースーツ店を成功させるためには、スーツに関する深い知識が不可欠です。スーツの専門知識を理解することで、顧客により適切なアドバイスができるでしょう。顧客の要望に応じたカスタマイズを提案できれば、信頼されるオーダースーツ店として成功に一歩近づきます。オーダースーツ店の開業に向けて、しっかりと基礎知識を身につけておきましょう。